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不正咬合の治療方法:不正咬合の種類:開咬
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不正咬合の治療方法
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正常咬合とは
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不正咬合の種類
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叢生
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上顎前突
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下顎前突
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上下顎前突
・開咬
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過蓋咬合
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萌出遅延・埋伏
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顔面非対称
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包括(全顎)的治療vs限局(部分)的治療
開咬 (かいこう)
臼歯部(奥歯)で噛んでも(=奥歯だけしか当たっていない)、
上下顎の前歯は接触せずに上下的に隙間ができてしまいます。
前歯で食べ物を噛みれないばかりでなく、正しい発音が出来ません。
舌癖(嚥下する時に舌を前方に出して上下の前歯の間にはさみ込んで
しまう)や上下の口唇が緩いことも関与していたり、複雑な要因がある
場合が多くあります。
下顎が小さくて後退あるいは時計方向へ回転している場合があります。
さらに、下顎や下顎からオトガイ全体が小さく後退あるいは時計方向へ
回転していることが、下顎頭(関節頭)が変形・吸収しているために
起きている場合もあります。
3DCTとパノラマX線写真
右側関節突起は短かく、関節頭の骨変形が認められる
従来の治療メカニクスは、上下顎の前歯を挺出(延び出)させて、
前歯の垂直的な被蓋(噛み合わせ)を作るもので、
そのために治療後に上下の歯の圧下による後戻りが生じることが多く、
最も治療後の安定が得にくいタイプの不正咬合でした。
開咬患者の矯正治療後の変化について
鶴田仁史, 渡辺八十夫, 山内和夫
広島大学歯学雑誌 第21巻, 第 2号, 352-361, 1989(平成元年)
上下顎前歯部叢生と上顎歯列弓狭窄を伴う開咬
初診時
治療終了時
詳しい治療経過をご覧になられる場合は画像をクリックして下さい。
なお、
矯正歯科治療における偶発症としては、歯肉退縮、歯根吸収、
齲蝕のリスクなどが挙げられます。 →
一般的なリスク・副作用
一般に、下顎自体が後退している場合には、咬合だけを作り上げても、
すなわち骨格の不正をカムフラージュするだけでは、好ましい側貌を得る
ことは難しいことが多いのです。
咬合だけでなく顔貌の改善も視野に入れた治療ゴールを目指した治療法の
選択(
顎矯正手術)も検討すべきでしょう。
また、正面から観た時の上顎の歯の先端や咬み合わせの面を連ねた面
(咬合平面)が傾斜していて、上下の唇を閉じた時に左右の口角が
右上がりや左上がりになっていて顔面非対称を呈している場合も
あります。これを改善するためにも、上下顎移動術(
顎矯正手術)が
必要となります。
従来行われている手術術式は下顎を反時計方向へ回転させる手術を行って
強固な骨固定をするというものでしたが、
我々は上顎後方部を上方へ移動させる
顎矯正手術を行うことにより、
これまでの手術術式よりも安定した治療ゴールが得られるようになって
います。
開咬症例に対する外科的矯正治療における上顎骨の移動様式について
鶴田仁史,宮本義洋
第44回中・四国矯正歯科学会大会 2001(平成13)年07月 徳島
外科的矯正治療による開咬症例の治療手順と手術術式について
鶴田仁史,宮本義洋
第47回中・四国矯正歯科学会大会 2004年(平成16)年07月 広島
骨格性開咬症例こそ、先ず顎矯正手術によって噛めるように
すべきである
鶴田仁史,宮本義洋,岩垂鈴香,宮本博子,戸澤麻美
第22回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会 2004年(平成16)年11月 東京
Le Fort T型骨切り術による上顎骨後方部の上方移動ならびに
時計方向への回転と下顎枝垂直骨切り術とによる上下顎同時移動術を
施行した開咬症の長期観察例
鶴田仁史,宮本義洋
第16回日本顎変形症学会総会 2006(平成18)年06月 幕張
上顎骨後方部の上方移動と時計方向回転とによる上下顎同時移動術を
施行した開咬症の長期観察例
鶴田仁史,宮本義洋
第65回日本矯正歯科学会大会 2006年(平成18)年09月 札幌
上顎前歯部軽度叢生を伴う骨格性開咬(上下顎移動術)
初診時
顎矯正手術直前
治療終了時
詳しい治療経過をご覧になられる場合は画像をクリックして下さい。
顎変形症の治療に伴う主たる偶発症・合併症としては、
出血、知覚異常、後戻り、顎関節症、Progressive Condylar Resorption、
心理的不適応、閉塞型睡眠呼吸障害などが挙げられています。
そのため、治療開始前に起こりうる偶発症・合併症に関する十分な説明を
行って、インフォームドコンセントを得た上で治療を開始すべきであると
されています。
…日本口腔外科学会による顎変形症診療ガイドライン(2008年)
顎矯正手術を併用した治療の詳細については、
顎変形症 ならびに
顎変形症に関する研究業績 をご覧下さい
さらに、オトガイが十分に発達していない(=前方への突出度が小さい)
場合には、オトガイ形成術やシリコンなどを用いたAugumentationも
診断の際に併せて考慮すべきかもしれません。
なお、
オトガイ形成術後には、下記のごとく様々な
合併症が生じることが
報告されています。
創の離開、感染、血腫、知覚神経麻痺、歯の偏位、歯根の損傷、
歯肉の牽引による歯根の露出、過剰な軟部組織やmentalis muscle縫着の
失敗によるsoft-tissue chin ptosis、非対称やstep-type deformities
などの輪郭不整などが挙げられます。
顎変形症患者に対して施行したオトガイ形成術後の輪郭不整について
鶴田仁史, 宮本純平, 宮本義洋, 宮本博子
日本美容外科学会会報 第39巻, 第 3号, 8-20. 2017(平成29年)
オトガイ突出度の大小
左から、オトガイの突出度がやや大きい、標準的、著しく小さい
オトガイ形成術(水平骨切り術によるオトガイの前方移動)
左は術中写真(プレートを用いて固定)
右は治療後の側方頭部X線規格写真
また、近年、歯科矯正用アンカー(スクリューやプレートなど)を
用いて臼歯部(奥歯)を圧下する(=めり込ます)ことによる治療も
行われるようになりました。
なお、学童期に、前歯部の開咬を改善しておくこと(第一期治療)は、
将来の治療を容易にすることにつながり、意義があると考えられます。